僕のロック 君のロック

「どんなジャンルが好きなんですか?」

とりわけ若いお客さんに訊かれることが多い。
僕の好みの音楽のジャンルは何ですか?と云う質問だ。
ココで僕は困る。
ジャズ、ファンク、ソウル、レゲエ、スカ、ブルース、テクノ、ハウス、ダブ、エレクトロニカ、ケセラセラ、etc。
どれかに絞るってのは困難なのである。
そして考えに考え抜いた末に、僕はこういう風に答えることにした。
「ジャンルが何であろうと、そこに自分の中でロックを感じることが出来たら好きです。
他の誰かに『え?それ全然ロックじゃねえし!』と言われようとも全然構わない。
自分がロックと思えればそれでイイんです。
声高に『これがロックだぜ!』と叫ぶこともなく、そっと心の奥底で『ロックンロール……』とつぶやければイイのです。ルルルラララ。」と。
これは我ながらナイスな返しだなと自惚れた。
わかっていらっしゃるとは思うが、僕が云う「ロック」とは「イエーイ!ロケンロー!シェケナベイベー!」ってノリでは断じてない。

なんかこう、心の奥底にスーンと横たわる強大な力って感じのもので、優しくて、ただひたすら優しくて、いやはや正直全く説明出来ない。
だけど、これもまた『そんなの全然ロックじゃねえし!』と誰かに嘲笑されても全然構わないのである。
だから、僕は貴方のロックも否定しない。

ふと店内の本棚を眺めて吹き出した。
これもまたロックだなと思った。
本棚には、その人間の生き様が現れていると思う。
いや、これはちょっと違うか。
その人間の「自分はこうありたい!」って矜持のようなものが見えてくる感じと云えばイイか。
ふざけてるな〜と自嘲しつつも、イイぜこれ!スゲ〜イイぜ!
と自惚れてもいる。
誰も褒めてくれないから、ひっそり独りでほくそ笑んでいるのだ。

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