ふとした思いを綴った日記

以前読んだ無人島に漂着した人々を描いた実話をベースにした本の話です。
 
 
それぞれ、それなりのプロフェッショナルで、各人協力して困難を乗り切ってどうにか生還しようと奮闘するわけです。
 
 
その中で、風流を愛し音楽を奏でるのが得意な男がいましてね。
漂着当初、その音はみんなを和ませ不安を和らげ、希望にもなるのですが、徐々に食糧が尽きてきて、体力を奪われ始めると誰も音楽を求めることすら出来なくなっていきます。
 
 
それでもどうにか生き抜こうと皆が耐えているとき、音楽を奏でていた男は崖から身を投げてしまうのです。
楽器だけを残して。
 
 
これを読んで私はショックを受けましてね。
所詮、芸術なんてものはそんなものなのかと。
極限のサバイバルな状況においては、真っ先に脱落してしまうのだなと。
風流を愛する心なんてのは邪魔になるのだなと。
 
 
でも、私は思い直しましたよ。
だからこそ、芸術は大切なんだぜと思えて来ましたよ。
人間らしくあるために必要なものなんだぜってね。
 
 
ちなみに床屋はどうかといいますとね。
 
 
物語の終盤、これでどうにか生還出来るってなったとき、みんな髪を髭を整え始めるんですね。
 
 
それまでは外見なんてどうでもいい状態だったわけです。
それどころじゃないわけです。
 
 
生きる、生活するって思えたとき、人は外見を整えるのですね。
 
 
漂着したメンバーの中に床屋はいなかったので、それぞれ整え合うわけなのですが、ここで床屋がいたらもっとクールな姿で生還出来たはずなんです。
何せ十数年ぶりの帰還ですからね。
ビシッと決めたいじゃないですか。
 
 
もし自分が漂流したら先に死ねないですね。
最後の最後に、仲間をかっこよくするっつー重大な役目がありますから。
 
 
まあ、何が言いたいかっつーと、みんな髪を整えに行こうぜってことです。
髪を整えたいって思い、それはとても人間らしい、人間ならではの思いなのですよ。
 
 
 
 

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