ちょっと気持ちがしゃんとした

息子が幼稚園を卒園した。
子どもの成長は早い早いと聞いてはいたが本当に早い。
ものすごく早い。

 

 

息子が生まれてから今日までが、まさに走馬灯のように本当に頭を過った。
先人たちが言っていたことは本当だったのだ。

 

 

坂口安吾先生は、本当のことは本当過ぎるから嫌いだ……
と言ったそうだが、僕は息子に関わる、息子に関する、息子にまつわる多くの本当が好きだ。
本当過ぎて好きだ。

 

 

先日『さよならアメリカ』(渋谷直角著)を読んだ。
たまたま本屋に寄って、たまたま手にとったのだった。
その装丁が目に入った瞬間、これは読まねばなとピーン!
と来たので、その感性に従うことにした。
そしたら、今まさに読むべき本だった。
やったぜと思った。

 

 

物語の終盤、偶然にも幸運にもナゼだか明らかに多摩湖(僕の実家のそばにあるナイスな人口湖だったから物凄く作者に親近感)が描かれている場面での準主人公の言葉『私はネットの評価を信じない、自分の目と耳と頭で判断してる!』ってくだりにはドキリとさせられた。

 

 

果たして俺ちゃんはどうだろうか……

 

ネットの評価に左右させられてないだろうか……

 

自分の目と耳と頭で判断してるか?

 

あれが最初で最期のチャンスだったと勝手に決め付けて、勝手にとぼとぼとポケットに手を納めてしまってはいないか?

 

実力が足りないことを棚に上げ、図々しく“スランプ”などと口にしては芝居がかった苦笑いを浮かべてはいないか?(by 竹原ピストル)

 

 

そんな思いがグルグルと巡ったんだった。

 

 

そうこうしているうちに、来月には小学校の入学式が待っている。
その頃には桜は散ってしまっているだろうか。
妻さんと息子との記念写真も撮るのが楽しみだが、自分だけ特別ビッグなフェイスなのでちょっとだけ落ち込んだりするのも、また一興ってことでサラリとかわそう。

 

 

三年前、入園式の際に仕立てたスーツが今後も着られるよう気をつけねばなという思いもグルグルと回る。
なんだかんだで、自分のことばかり気にしちゃっている己に少々自己嫌悪。

 

 

さてと。
こんな定休日には、The Beach Boys 『Smile』でも聴くかな。
この50年以上前に作られたアルバムを、きっと僕は30年後も聴いているだろうと思う。

 

イチローさんの引退会見での

 

「最低50歳までと本当に思っていた。それはかなわず、有言不実行の男になってしまったが、その表現をしてこなかったら、ここまでできなかったかなという思いもある……」

 

 

という言葉を受けて、妻さんが「80歳まで仕事しよう!って思ってれば70歳までは出来るよ!」と言ってくれて、僕はみょうに腑に落ちたんだった。

 

 

そう思うことにした。
そうしたら、なんだかちょっと気持ちがしゃんとしたんだった。

 

 

 

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