感受性応答セヨ

お父さん!

振り向くと息子が泣いていた。
ヘッドフォンをしたまま、手を差し出し「ハンカチ!」と叫んでいる。

どうした?

と駆け寄ると、この曲を聴いてたらスゴく悲しくなったんだ、大好きな曲なのに……と言う。

ヘッドフォンを借りて聴いてみると、その息子を涙させた音楽はスリップノットの “The Nameless” という曲だった。

息子よ、それは ‘感動’ ってやつだ。
この音楽に気持ちが揺さぶられたんだ。
気持ちいいだろ?
息子は無言で頷いた。

それから妻さんに「オレ感動したんだ!」と得意げに報告していた。
きっと嬉しかったんだろう。

これはつまり息子の中でちゃんと感情が育っているってことだな……

なんて考えてたら、こっちの気持ちまで揺さぶられた。

スゴいな……

音楽の力はスゴい。
それを感じる感性もスゴい。
人って、人間ってスゴいよ。

今年の三月に予定されていたスリップノットの来日公演は、コロナ禍による再再度の延期で、再来年の春に開催となった。

ライブに行きたい!

とシャウトする息子。
いや、七歳児にはさすがに無理でしょ……

と思っていたが、再来年の春だったら息子も小学四年生になっているわけで、それなら行けるんじゃ?もしかして?
とワクワクし始めている自分がいる。

子どもの「行きたい!」って気持ちは大人の想像を遥かに超える情熱な気がするのだ。
出来ることなら、その望みを叶えてあげたい。

今再び『BLUE GIANT』を涙満載で読んでいる私はそう思うのだ。

音楽は良い。
やはり良い。

でもしかしだ。
再来年の春まで息子はスリップノットが好きかな。
とっくに飽きてたりして。だとしても、別に驚くことじゃない。
彼らはそんなスピード感で生きているんだもの。
次の何かを見つけているかもな。

股旅。

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