それは大人になったら もう見えない

何かちょっと怖い話ない?

と息子が言うので、小学四年生の夏休みに起きた不思議な出来事の話をした。

夏休みに退屈し始めていた僕らは、何かのマンガに書いてあった妖精を呼び出す方法ってのを実際に試してみようぜ!って盛り上がり、町のはずれにある小さな神社に夕方集まったんだった。

メンバーは、僕とナカハマ ヒロシとツカモト キワム、あと一人は誰だっけかな。
ちょっと思い出せない。

その方法は、神社の境内などにある古い木の根元に砂で台を作って、その上(台形の台の上、上辺にあたるところ)に丸鏡を置いて平らにし、さらにその上に砂をかけて斜面には階段を作っておくというもの。
そうして、一晩たって、次の日に見に行くと足跡が砂の上についているかもね〜ルルルラララ

なんて書いてあるもんだから、そりゃ試すわけだ、小四ノータリン男子だからさ。
で、夕暮の中、それをせっせと設置し、僕らは明朝五時にココに集合なと約束しバイバイしたのでした。

で翌朝。
五時に神社に行くと、鳥居の前にツカモト キワムが立っていた。
一人で境内に入るのが怖いから待ってたらしい。
で、後の二人を待ってたのだが全然来る気配がないので、二人で確かめてみることにした。

それでね。
これは今でもハッキリ覚えているのだが、小さな小さな足跡があったの。
ミクロマンくらいのサイズの足跡(2cm弱くらいの)が、階段を登って丸鏡の上をクルリとした後、また階段を降りたと思われる足跡がさ。

キワムと僕は吃驚しちゃってさ、シーンと鎮まりかえる境内が怖くなってさ、そしたらいきなり突風が吹いてさ、慌てて僕らはその山を壊して鏡を持って飛び帰ったんだった。

来なかった二人が、昨日帰ったフリして、また神社に戻って足跡をつけたんじゃないか?
なんて、ヤツらを疑ったんだけど、この後問いただしたら絶対やってないと言う。
寝坊して行けなかったと言う。

じゃあ、あれ何?

妖精の足跡だ!
ってなって大興奮。
今みたいにスマホでカシャなんつって証拠写真も撮れないから、僕とキワムはちょっとだけ嘘つきと疑われたけども、二人はどうにか信じてくれたのを覚えている。

とココまで書いておきながらも、もう一人が誰だったのか思い出せない。
もしかして最初からいなかったんじゃ?
まさかね。

で、この足跡。
木の妖精で、沖縄で伝わるキジムナーとか、北海道のコロボックルみたいなものの足跡らしい。
だから、僕はね。
妖精の存在は信じているの。
面白そうだなって思った人は試してみると良いよ。
息子にも、友だちとやってみればと言っておいた。

息子はお父さんも一緒にって言うんだけどさ。
こういうのは大人が混ざるとダメなんだよ、子どものときしか妖精は出て来てくれないんだよね……と言ったら、何となく納得してみたい。

今年の夏休み、息子も友だちとやったりするかな。
あのときの僕と同じ小四になるからね。
やると良いよ。
ドンドンジャンジャンやるべきだよ。

そんな息子は、近頃自分のソフビをリペイントすることにハマっている。
水性プラカラーで塗った後に、汚し塗装もしたいって言うから、ドライブラシって手法を教えてあげた。
映画に出てくるガイガンみたいになったと息子は大満足。
まさか、四十年の時を経て、小学校時代に夢中になってたプラモデル作りの基礎知識&技術が役立つとはな〜

無駄じゃなかったってことだ。
嬉し。

今日帰ってきたら、次はキングコングをリペイントするんだと息子は鼻息荒く学校へと行った。
次は墨入れでも教えるかな。ウフフ。

股旅。

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