その世界には終わりがない

鳥山明先生が逝ってしまいました。

あまり言ったことないですが、実は『Dr.スランプ』のコミックを全巻持っていました。
アニメも観てました。
リブギゴやキャラメルマン1号のプラモデルも作りましたよ。
あのカッコよくも可愛らしい独特の鳥山ワールドに少年テッペーは魅せられまくってましたね。
つまりファンだったのです。
確か私が中一の夏に連載が終了しまして、それからすぐに『ドラゴンボール』が始まったのですが、確か、フリーザが登場する頃くらいまでで読まなくなってしまいました。
(ドラクエもそこまでやり込んではおりません)

こんなものは子どものもんだぜ……ふふふ

だなんて思いがそこにあったんでしょうね。きっと。
同じパターンで、私は、プロレスを観るのをやめてしまい、機動戦士ガンダムシリーズも観なくなったんです。
今となっては勿体無いことをしたと後悔しております。
追いかけ続けてたら、それぞれのジャンルで生粋のオタク者になれてたんじゃないか?どう?
そのチャンスを自ら逃したと思うと激しく悔やまれます。
痛いヤツです。

で、今の私。

少年時代以来のマイ プラモデルブーム & ムーブメントに支配されているわけでして。
鳥山明先生はプラモデルの実力も天才的でプロ中のプロなわけで、そりゃもう憧れてるわけです。
だから、行きつけのプラモ屋で鳥山明プロデュースのキットを見つけたときは大興奮しましたよ。
相変わらずのそのデザイン、その世界観、ナイスミドルテッペーが少年テッペーに瞬く間に戻れるわけです。
(ちなみにダフトパンクの名作アルバム『Discovery』は、彼らが少年時代に夢中になった世界を描いたものらしいですね。どうりで好きなわけです。共感の嵐しかないですもの)

このパッケージ、たまらないですな。
鳥山先生が描き下ろした解説も素晴らしい。

私が知っている範囲で、今後も私は鳥山明ワールドを堪能しようと思います。
もう掘らないし、広げない。
手が届く、心が追いつくものに触れていきます。
それがいいし、それでいい。
あらためまして、鳥山明先生ありがとうございます。

合掌。

この世で一番カッコいいのは……

今さっき読み終えた本の中にあった一節

「この世で一番カッコいいのはリラックスしてる人ですよ……」

が何故か何故だか響きまくっている。
何がどうなってこんなにも響くのかわからないのだけれども、これは最早私の人生における「福音」や「啓示」レベルの言葉だったのではないか……ちょっと大袈裟か?いや、そのくらいだよ!ってなくらいの響き具合なのである。

この言葉を発した主人公はこうとも言う。

「この世の中で一番大切なのはリラックスできてること……」

なんだか、私なんかがこの一文たちだけをピックアップすると、ただただ独り善がりの強烈に気持ち悪いものになってしまうかもだけど、何しろ響いちゃったんだから仕方がない。

リラックス、それ大切。

「RELAXIN’」ってタイトルのアルバムを出したマイルス・デイビスもハイロウズも、その大切さに気づいたからタイトルにしたんだろうな。
私も もし万が一、二号店を出すなんて奇跡が起きたとしたら『RELAXIN’ BARBER SHOP』って店名にしてしまうだろうな。
多分きっと。

そうそう。
このまま順調に行けば今年の十月に我がDOODLIN’ BARBER SHOP はめでたく二十周年を迎えるわけである。
迎えるにあたって、目標というか合言葉というか、こうありたいというかって感じのキーワードが浮かんだのだ。

Goin’ Down Slow

良いでしょ。
ゆっくり下って行く……
凄く良い。
いろいろなことに相応しいワード。
そして、それはさっき書いた「リラックス」にも繋がる。
数年前、コロナ禍の真っ只中で掲げた『GO SLOWLY』にも繋がる。
これしかないと思った。

この Goin’ Down Slow をテーマに、バッヂやTシャツやステッカーも作ろう。
この先はゆっくりゆっくり降って行くのだ。
それは全然ネガティブなんかじゃなく。
むしろ猛烈にポジティブで、でもベリー最高にちょうど良く脱力してる感じ。
最高だわ。

ちなみに、この『Goin’ Down Slow』は、
大好きなトム・ウェイツの大好きな曲のタイトルから拝借した。
いろいろぐるぐる回って、やっぱりトム・ウェイツ。
今こそトム・ウェイツ。
十九歳の頃からずっと好きなトム・ウェイツなのである。

人生をベリーイージーに。
やはり股旅。

old man’s wisdom

久しぶりに息子が作ったマスクを着用してみた。
これを装着すると何故だか気持ちが高揚する。
不思議な力を持つマスクである。

で、この私が掲げているレコードは“CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN” の1stアルバム『tradition』。
最近どっぷり聴いている傑作である。

相変わらず息子は日々創作に励んでいる。
それは絵だったり、アニメ制作アプリだったり、プラモデルだったりで、彼の創作意欲はとどまるところを知らないようだ。

例えばプラモデルの組立説明書。
そこに30の工程が記されているとする。
そこで私だと「んーまぁ今日は5までやるかー」って感じに収まるのだが、息子は違う。
30まで一気に駆け抜けるのだ。
つまり「飽きない」のである。

私は飽きることを怖がっている。
いいな〜と思える曲と出会えたとしよう。
何回もリプレイして聴くのだが、飽きる寸前のところでセーブしてしまう。
でも、息子は違う。
うんざりするほど同じ音楽を聴き続け、しかも飽きないのだ。
超人である。

これは子ども特有のパワーなのだろうか。
かつてのチャイルドテッペーはどうだったろうか。
セーブせずに駆け抜けていただろうか。
うむ、覚えてないぞ。

息子がプラモデルにハマり始めて二年弱。
三、四年後には「お父さん、下手くそだなぁケロケロ」と呆れられるだろうな〜なんてジョークを言っていたのだが、それはもう現実になろうとしている。

息子は失敗を恐れない。
雑誌やネットで仕入れた技術をすぐさま取り入れてチャレンジする。
そりゃもちろん失敗も多々あるのだが、それで挫けないガッツがある。

私にはない。
何しろ失敗が怖い。
失敗して、自分の実力と技術のなさを痛感したくないのだ。
出来る範囲でゆっくりゆっくり自分のタイミングで、爆発的にさりげなく、こっそりチャレンジしている。
情け無く感じもするが、良い言い方すれば、これが「年の功」なのである。
多分きっと。

先日読み始めた本。
どうしても物語に入って行けず、途中で断念した。
こうなることは滅多にないから驚いている。
サラッと読むのを諦めた自分にだ。

でも、これからこういうパターンは増えて行きそうだ。
ん?と感じたらさっさと次へGO。
これもまた「年の功」のなせる技なのでは?
いや、違うか。

一度に全てを望んで マッハ50で駆け抜ける

デヴィッド・ボウイの “Modern Love” を聴くと走り出したくなると同時に泣きそうになる。

僕が高校生のとき、思いっきり背伸びして独りで渋谷か銀座に観に行った映画『汚れた血』(レオス・カラックス監督作品)の劇中で使われてて、その場面で鳥肌立っちゃって、うわースゲースゲースゲー!ってなったのを覚えている。

そんな三十数年も前のことが、 “Modern Love” の前奏を聴いた途端にグワワワって甦ってきて、ほんの昨日のように感じられて、今そこにいるような錯覚まで起こしちゃって……いやはやホント音楽の力って凄まじいなと嘆息が止まらないのである。

でも、そんな気持ちにさせてくれる音楽は少ない。
数えるほどしかない。
大好きな曲はいっぱいあるけど、そういう僕の中の何かを爆発させるような音楽はほとんどない。

誰かにとって、そういう音楽でも、僕にとっては、そういう音楽じゃない。
誰かにとっての宝物が、僕にとってはガラクタで。
誰かにとってのガラクタが、僕にとっては宝物になる。
それが面白い。
それが愉快で痛快でスペクタクルで興奮する。

身も心も日々オッサン化する中で、誰かの宝物を少しは大事にできるようになって来たような気がちょっとだけする。
自分の宝物はもっともっと大切になって来ている。
それはとても良い感じなのである。

DOODLIN’ BARBER SHOP は今年の十月で開店して二十年になる。
己の飽くなき探究心を詰め込みまくった我が店、我が同志。
今年で二十周年か……
あんなこと、こんなこと。
チャレンジしたいことも密かにある。
色々あれこれやれたらいいなぁと思う。

そんなわけで、あらためまして今年もヨロシクです。

股旅。

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。
一年の計は元旦にありと申しますが、果たしてどのような一日を過ごせば良いかな?どうかな?

と思案しているうちに陽が傾き始めましたよ。
そっか、そんな一年になるんだな。
それってどんな一年?
わからんよ。
そんな感じで過ごしてます。

とりあえず、作りかけだったプラモを仕上げてみました。
とてもいい感じに仕上がって大満足。
これが、息子に教えてもらった塗装法をやってみたんです。
だって、すごくカッコよく塗ってやがるんですもの。
老いては子に従えでしたっけ?
まだまだナイスミドル真っ只中ですが、早くも実践してますよ。
で、多分それはきっと良いことだと思うのです。

もっともっと上手になりたい。
そんな気持ちは高まるばかりです。
仕事以外で、そう思える何かがあるって多分きっと幸福に違いない。
そう信じたい2024年であります。

こんなしょうもない駄文をヘラヘラと書いてたら、Apple Music ちゃんが フィッシュマンズの “バックビートにのっかって” をナイスチョイスしてくれまして。
これまた幸先良いスタートを切れたんじゃないかと。

はてさて皆々様はその後お変わりなくお過ごしでしょうか。
旧年中は思い起こせば恥かしき事の数々、今はただ、後悔と反省の日々を過ごしおりますれば、どうかお許し下さい。
わたくしの妻さん、そして十歳九ヶ月になる息子の倫太郎、いずれも世間知らずの若輩者ではございますが、わたくしのかけがいのない肉親共でございますれば、何卒、ご指導ご鞭撻の程お願い申し上げます。

なお、わたくし事ではありますが、移転して八年半、移転前も合わせると今年で二十周年を迎えちゃうというアニバーサリーな一年になりそうな予感がムンムンである 私の店『DOODLIN’ BARBER SHOP』はもちろん、この日記、恒例となりつつあるオリジナルTシャツ、などの製作、昨年末に華麗に復活したレコード選曲など、相変わらず成長することなく愚かで無教養な内容ではありますが、一応、どれもわたくしのかけがえのない『作品』でありまするゆえ、今後ともくれぐれもお引き立ての程、よろしくお願い申し上げます。

とかく西に行きましても東に行きましても、土地 土地のお兄貴さん お姐さんにご厄介かけがちなわたくしではございますが、以後、見苦しき面体お見知りおかれまして、今日こう万端ひきたってよろしくおたのみ致します。

末筆ながら首都圏郊外所沢市にて、辰年の本年が皆様にとって良い年になりますよう、そして貴方様の御幸福を心よりお祈り申し上げます。

2024年元旦
DOODLIN’ BARBER SHOP 店主
高崎哲平 拝