まだまだまだまだだな

しょうもない話から始めさせていただく。

さっき公衆トイレットに入った。男性スタンディング用が二つあって、一つはもう先客がいたので、もう一つを使うことにした。先客は七十歳ぐらいの爺さんだった。ヨッコラセとオレは用を出し始め、ちちんぷいぷいとフィニッシュ。だが、まだ爺さんは用足し中だった。

オレは瞠目した。オレも随分と用を足すのに時間を要するようになった。オレがしている間に、小学生が二人にフィニッシュされたこともあるくらいにだ。だが、爺さんはそのオレを遥かに凌ぐロングトーン。そうか、やはりオレはまだまだヒヨッコだったってわけか。まだまだ人生長いぜ。

余談だが、この爺さん。オレが手を洗っているうちに、手洗いもせずにダッシュで出て行きやがった。やるな。ロックンロール。

ロックンロールと云えばだ。さっき本屋に『音楽と人』って雑誌を買いに行ったのさ。甲本ヒロトと峯田和伸の対談が載っているっつーから、このコロナ禍で二人がどんな言葉を紡ぐのか気になるに決まっているわけで、そりゃ買わずにいられないわけだ。でも売ってなかった。ザケンナヨと憤慨もした。しかし、発売日は五日だったことを今さっき思い出した。アホだった。

本屋までの道中。ドライブBGMに選んだのは、THE BLUE HEARTS の『STICK OUT』だった。発売された1993年当時は、あまりピンと来なかったこのアルバムだが、今になってピンピンビッシビシ来てる。特にラストの二曲『月の爆撃機』から『1000のバイオリン』への流れはオレの中で伝説と化している激流だ。

車内はオレ一人。もちろん爆音だ。マスクは嫌いだが、このときだけは役に立つ。熱唱してても、オレがどれだけシャウトしても、誰にも気がつかれないからだ。マスクよ、ありがとう。

空が暗くなってきた。夕方くらいから雨らしい。

さて、縄跳びでもするかな。

ありのままでいいじゃないか

心地好い秋晴の中、クワガタ虫の飼育箱を覗いたら息子が捕獲したノコギリクワガタのオス

が天に召されていた。
ノコギリクワガタとしては珍しく、ひょっとして11月まで生き延びるのでは?
と期待していた最後の1匹だったのだが、やはりダメだった。
息子が学校から帰ったら、この悲しい事実を伝えなくてはならない。
息子はきっと泣くだろう。
息子よ、その涙は心の汗だ。

その息子が最近よく聴いている THE BLUE HEARTS。
結成35周年ってことで、めでたいな〜と私もよく口ずさんでいるのだが「いや待てよ……35周年って凄くないか?」とはたと気づいたんだった。
その年月もさることながら、三十数年前の楽曲に心打たれるって……

息子は今7歳だから、自分に当てはめてみると私が七歳だったのは1978年なわけで、その35年前って、1943年のわけだから、それって第二次大戦中じゃないの!

その時代のものって、自分にとっては遥か昔の歴史上の物事って印象しかなくて、その頃に鳴らされた音楽なんてもはや夏メロを超えてくるもので、笠置シヅ子さんとか美空ひばりさん的な感じ?
スゲーな!マジスゲー!

と一人感嘆している床屋のオヤジさん。
それが私なのである。
どこかで何かの拍子に時間の経ち方が変わったのだろう。
それがイツなのかを明確に答えられる人は多分いない。
でも、どこかにそのポイントがある。
必ずある。

その流れからなのか、先日一目惚れして鈴木英人さんの2021年版カレンダーを買ってしまった。
我々の世代にとっては雑誌「FM STATION」のカバーデザインや山下達郎さんのレコードジャケットを描いた人って印象だけれども、それがグルグルグルグル廻って今まさにキテる!もはや新しい!スゲー!と感じたんだった。
ナウいでしょ?

先ほどの ノコギリクワガタの話とTHE BLUE HEARTS の話とこの話は私の中で見事にリンクしているのである。
それ違くね?
と誰かに意地悪を言われても全然気にしない。
誰かのサイズに合わせて自分を変えることはない。
自分を殺すことはない。
ありのままでいいじゃないか……

そういうことなのである。
何しろ全てがスペクタクルなのである。

ケロケロ。

GOOD MUSIC & POSITIVE VIBRATION

店のコンセプトに『GOOD MUSIC & POSITIVE VIBRATION』と掲げて十六年。
果たしてコンセプト通りの店を作り上げられただろうか、まだまだ旅の途中なのだろうか……その答えは風の中にある。
風だけが知っている。

というわけで、おはようございます。
このコンセプト内の “POSITIVE VIBRATION” は大好きなボブ・マーリーの大好きな曲名から頂戴しました。
店名の “DOODLIN’” も、ジャズの名曲名から拝借。
ところどころに「オレ音楽好きなんですけど、何か?」をチラホラ出している床屋のオヤジさん、それが私です。

“GOOD MUSIC” に関しては、なかなかヤレているのではないかと。
常に絶えずイイ音楽を流せているのではないかと。
そう自負しております。
けども “POSITIVE VIBRATION” はいかがなものかな……
開店当初から五年目くらいまでは、なかなかヤレてなかったかな……
なんて自己分析したりしています。
(六年目に結婚したのでね。そこが大きな節目でしたかね)

そういえば、バンクシーの新作が美容室の壁面に描かれたってニュースがありましたね。
これは正直、羨ましいと思ってしまいました。
そういう感覚(簡単に言うと“ミーハー感)に縛られることからは、もう脱却したつもりだったんですがね。
私もまだまだ未熟者ですわ。
相変わらずミーちゃんハーちゃんです。

バンクシー的なウィット、ユーモアに憧れがあります。
それとチラリとさりげなく知識と教養をのぞかせるあの感じ……
人を食ったようでありながら、誰も不快にさすないあの感じ……欲しいな〜
基本、大真面目にふざけていたいのです。

この日記は庭に張ったテントの中で書きました。
イイ感じです。
真面目にふざけられました。

股旅。

常に変わり続けている彼らの、変わらないもの

昨夜、結成35周年を記念してWOWOWで放送された “ザ・ブルーハーツライブ 1987.7.4 日比谷野外音楽堂” を観ていたら、横にいた息子が「イイじゃん、なかなかカッコいいじゃん」と生意気な一言をくれた。
嬉しかった。

1987年、僕は高校一年生だった。
この日比谷野音にはいなかったけど、翌年の日本武道館には行った。
青春だ。
でも、それはまだまだ全然終わってなくて、ずっと続いている青い春だ。

ザ・ブルーハーツ結成35周年だとぅ?
驚愕である。
驚愕ではあるが、ま、そんなもんだよな〜と妙に納得もする時の経過でもある。

高校生だった僕と7歳の息子が、同じライブ映像を観ている不思議。
息子の耳にはどう聴こえているのだろうか……
なんてしみじみ想像しちゃって気持ち悪い。
むず痒い。

ミュージック・マガジンが『甲本ヒロトと真島昌利の35年』という特集をしてて、当然の如く手にとった。

“ザ・ブルーハーツ結成を起点として、甲本ヒロトと真島昌利の活動が35年を迎える。
ブルーハーツにすべてがあった。
という人がいるだろう。
その後のザ・ハイロウズの10年に本質と充実がある。
という人もいるだろう。
いや、現在進行形のザ・クロマニヨンズにこそ真実がある、という人もいるだろう。
常に変わり続けている彼らの、変わらないものとは何か。
ヒロトとマーシーの35年を考える……”

素晴らしい……
その文言に震えが来た。
ザ・ブルーハーツに特化していないところがまたイイ。
正解はない。
全て正解でもある。
そんなことは、もうどうでもイイのだ。

しかしまさか、35年も聴き続けているとは、自分でも驚きだ。
と言いつつ、そんなに意外でもない。
ずっと聴き続けているオッサンになれて良かった。
もしかしたら、いつかどこかで聴くのをやめてたかもなとも思う。
聴き続けられてベリーラッキーだな。

しかし何度も言うが、この特集最高だな。
ヒロトの実弟である甲本雅裕さんのコメントが嬉しい。
ブルーハーツ誕生前の秘話。
たまらないぜ。

35年なんて一瞬の夢だね。

嬉しい。

ただいま話題の

『鬼滅の刃 無限列車編』を妻さんと息子と観てきた。大変面白かった。なんて言えば良いのかな。すごいエネルギーを感じた。ノリに乗っている感じ。こういう流れには乗らないといかんなと思った。内容については多くは語るまい。っつーか語れば語るほど薄っぺらく軽くなってしまいそうなのでヤメておく。

魅力ある登場人物たちの中で、私が特に贔屓したいのは嘴平伊之助だ。あの猪のマスクも良い。(私、イノシシ年なもんで)キャラクターも好きだ。マンガの方は未読の私としては、彼のバックボーンも気になるところだ。

昨年あたりから『鬼滅の刃』の話題がわんさか耳に入ってきていた。でも、自分が読む、あるいは観ることは多分ないだろうな〜だってひねくれ者なんですもの私……と思っていたのだが、この十日ほどでギュッと詰め込まれるように見事に『鬼滅化』された。きっかけはもちろん息子が見始めたからである。

なので、とっても鉄が熱いうちに打てたって感じか。テンションがグイグイ上がっている最中に劇場版を観られたのは幸福かもしんまい。コミック版を読んでなかったのも良かった。今後もコミックは封印するかな。できれば完結までアニメで観たい。その後に、コミックでおさらいしたい。

こういう作品が世の中と時代を席巻しているって、良いことだと思う。時代背景は大正時代。和服や刀や様々な道具、日本の伝統文化に子どもたちが興味を持つ切っ掛けになるかもしれない。登場人物たちの言葉遣いもキレイだ。人間たちの敵となる「鬼」(元は人間)たちの哀しみも描かれているところもイイ。

主人公の嗅覚が常人離れしているって設定もイイ。そもそも私たちは、人間に相対したとき「匂い」みたいな目には見えないもので、その人間を判断している気がする。これはそれを表現しているのでは……なんて睨んでいるのだが、多分違うだろう。

この作品には、今の時代に必要な「正義」が描かれていると思う。子どもたちにもきっと良い影響を与えてくれるだろう。

あれ?語らないつもりだったんだが、見事に語り始めているな。これ以上は語るまい。続きはお店で語らいましょう。

股旅。