やらなくてはならないのだ

今年もまた虫捕り三昧の季節がやってきた。朝夕問わず、息子が鼻息荒く「あの森に行こうぜ!」と言って来る。だけどまあ正直、父さんはイヤじゃない。あの黒光する物体を確認した瞬間の興奮はなかなか得られるものではないからだ。この年齢になって、少年時代のあの高揚感を再び味わえる機会をもらえて感謝しているぐらいだ。

しかし、息子は虫を獲ることにのみ夢中で、飼育箱で面倒をみることには興味がない。そうなのだ。息子は根っからのハンターなのだ。かと言って「じゃあ逃がそうか?」と提案するとそれはノーサンキューだと言う。五月に捕獲したヒガシニホントカゲもカナヘビ もそうだ。世話をしているのは父さんなのだ。息子が世話をしない……コレは世界共通のあるあるネタなのだろうか。

だけども息子よ。正直、父さんもハンター気質なのだ。私も面倒をみるのが臭い。略して面倒くさいのだ。朝起きて、飼育箱を掃除し、カブトムシ&クワガタムシにエサをあげる……一つも楽しくないぜ。

でもやる。やらなくてはならないのだ。これが人間だ。人間の業なのだ。わかるか?息子よ。

今店では、静かに Little Creatures が流れている。外はシトシト雨。イイ感じである。フィルソグー。

今手元には、『血族』(山口瞳著)がある。山口瞳(ひとみ)さんは男性であり、これは本名である。この名前にまつわるエピソードは面白かった。エッセイでありながらも、小説を読んでいるような感覚になる。この感覚は初めてだな。やはり読書は良い。読む度に自分の中の世界が広がる感じがある。糧になっているかどうかは、また別の話で。

五年前の開店時に買ったエジソンバルブがまだ切れない。すぐに切れてしまうだろうとスペアまで用意したのだが、切れる気配が全くない。これはスゴい!と密かに一人で感嘆している。

それでは股旅。

石の上にも……何年でしたっけ?

どうもこんにちは。

我が DOODLIN’ BARBER SHOP は明日で所沢市三ヶ島に移転して丁度5年になるわけですが、いやはやホント月日の流れる速さっての尋常じゃないな〜と嘆息するばかりです。
光陰矢の如し過ぎですよ。

あのとき2歳だった息子も今や7歳。
私は40代ラストになり、妻さんはいつの間にやら40代に突入。
思い返してみれば、あんなことこんなこと、いろいろありました。
感慨深し。

そういえば私。

「開店時に100%の状態になってなくても良いんじゃないかな。
だいたい、う〜ん、60%ぐらいで良いんじゃない?」

なんて、ほざいてました。

「残りの40%は、これから10数年かけて付け足していこうと思います。
未完成上等ですよ。
やらなければいけないことは沢山あります。
でも怒濤の日々に忙殺されて「まあいいんじゃん、こんなんで」と適当な妥協するよりは、「そこはまだちょっと待ってて」で良いんじゃないかと。
怠け者のいいわけと云われちゃったらしょうがないのですが、これが自分のペースなわけです。
無理して後に後悔したり、ツケが廻って来るのだったら、それで良いんじゃないかと。
ダメですか?」

などと言い訳がましく言ってたのですが、5年経ってみて「それでどうなのよ?」と自らを問い正してみたわけです。

で、自己分析的にはどう見積もっても残り40%のうち補完されたのは数%程度ではないかと。
そうなんです。
全然まだまだまだまだまだまだ∞でした。

多分ね。
完成する日なんて来ないですね。
完成=自分が満足するとき、なのですが、全くイメージ出来ない。
でも、コレで良い!
っつーかコレが良いんじゃないかと。

そう開き直ってみることにしました。

私も店も、まだまだまだまだ∞これからです。

DOODLIN’ BARBER SHOPの6年目もよろしくお願い申し上げます。

画像は5年前、開店前夜に撮ったものです。
うむ、感慨深し。

それでは股旅をする。

人生のバックグラウンドミュージックはこんな感じで。

移転してはや五年。つい先日やっとこさ念願だったシーリングファンを設置したのです。

その効果のほどについては、なかなか効くぜと噂では聞いていたんですが、ホントその通りでした。
店内の空気が巡っているのを感じますね。
それと、なんだかその存在が既にカッコイイですね。
気持ちもアガりますしね。
ちょっとオシャレ感ありますしね。フィルソグーです。

私の人生を俯瞰で眺めるとして。そのとき延々と幻聴のようにバックグラウンドを流れている音楽はこういうのがイイよなって理想がありまして。この際、似合う似合わないは置いといて、私の希望する背景音楽というのがあるんですよ。

で、その曲を脳内でピックアップして気づいたんです。あ、結構邦楽が多いのねって。コレは我ながら意外でした。私の人生的オリジナルサウンドトラックアルバムを作ってみたくなりましたよ。

パパパと浮かぶのはこの四曲。

“ 修学旅行夜行列車南国音楽 ” by GONTITI

“ グッドバイ ” by toe

“ Laurentech ” by SPECIAL OTHERS

“ Rip Van Winkle ” by Ska Flames

どんだけステキな人生なんだよ!と自分自身にツッコミを入れたくなりますが、イイじゃないですか、理想なんだから。で、どの曲もインストってところが全然我ながら意外じゃない。インスト的人生、そんなのを目指したいもんです。
それってどんな人生?
と訊かれても、一切答えられませんが。

で、話は圧倒的に変わるのですが、相変わらず我が家は “クレヨンしんちゃん” を観ているわけです。その笑いの奥にある何かに取り憑かれつつありますね。

先日観たエピソードには度肝を抜かれました。しんちゃんのお母さんである “みさえ” がですね。しんちゃんのお父さんの “ひろし” の給料日に銀行のATMで全額引き出しまして。それで、家に帰ったら、その引き出した現金が見当たらないわけです。しんちゃんと一緒に、記憶を辿って必死に探すのに見つからない。

で、一視聴者である私はですね。勝手に「あ〜こんなとこにあった!」チャンチャンってオチになると思い込んでいたのです。

が!みさえがひろしに「お金落としちゃいました、ごめんなさい」と言い、ひろしはショックを受けつつも「また稼げばイイのさ!」とミエを切り、しんちゃんは「よ!父ちゃん、オトコマエ!」と囃すわけです。

この時点でも、私はまだ「あった〜!めでたしめでたし!」と終わると信じ込んでいたのですが、物語はそのまま終わってしまうのです。

マジですか!?

キョトンですよ、床屋のおっさんは。もしかしてコレはアレじゃないですか?ヴィットリオ・デ・シーカ監督が撮ったネオレアリズモの傑作『自転車泥棒』へのオマージュではないのですか?

仕事に必要な自転車を盗まれ、それを必死に探す父子。でも結局見つからないっつー無慈悲な圧倒的現実を描いたあの映画です。

そうです。私は “クレヨンしんちゃん” の中にネオレアリズモを見たのでした。

話がまた長くなったので、そろそろ仕事に戻ります。

それでは股旅。

コレなんだよな

今週中に設置予定のシーリングファンの効果について調べていたら、エアコンは付けっ放しの方がイイんだぜとあった。一度 OFF にして、また作動させるまで9時間以上あるようなら切った方がイイらしい。

そのくらい、作動させるのに電力を使うし、また冷やすのにもパワーを使うからだそうだ。かつての常識では、ちょっと部屋にいないようなら「節電節電せっせと節電」なんつって、オンオフを繰り返していたが、そんなのはむしろ電力&電気代の無駄遣いの屁のカッパだってことだ。今風に言うなら “どんだけ〜” って感じか。

でもそれでも、付けっ放しにすることに一抹の罪悪感があるような私は既に古い人間なのだろう。所謂、オールドスクールってヤツか。いや、違うか。

今までずっとそう信じてきたことが、信じられてきた常識が、ある日を境に気持ち良いぐらいにこっぱみじんにされることがある。これに傷つけられることもままあるが、往々にしてなんだかちょっと痛快であることの方が私の場合は多い。なんだかスカッとするのだ。

スカッとすると云えば SKA なのだが、SKA を聴くのに気持ちが良い陽気になってきた。イイぞ。

今読んでいる忌野清志郎先輩の語録本に

『反原発集会へのお誘いも多かったけど、そういうところへ行って歌えば受けるの当たり前だし。目に見えててつまらない。むしろ推進派の集まりに呼ばれてやりたかった……』

とあって、思わず「コレなんだよ!」と膝を叩いた。いろいろある現代社会、いろいろな意見や表現がある。このイマーノキヨシロー的気概を持って欲しいなと思う。政治家さんも、その政治家さんの文句ばかり言っている人もさ。

で、出来ることならユーモアも内包して。

股旅。

だんだんわかった

ここ数年、気温32℃を超える辺りから段々効きが悪くなるエアコンちゃん。

いろいろと原因は考えられるのだが、その道のプロフェッショナルの方々の多くが「シーリングファンを付けたらだいぶ変わりますぜ」とアドバイスしてくれるので、ちょっと勇気を出して設置してみることにした。

いや実は、そもそも五年前の移転当初から付けた方がイイと言われてて、ちゃんとシーリングファン用の接続器を天井に用意はしてたのだ。
ただ、付けなくても全然平気な夏を二回も過ごせたもんだから、これはもう設置しなくて大丈夫かな〜と日本の夏をナメてかかったのが間違いだった。
三年目にあの猛烈な酷暑に襲われて流れが全て変わった。
全ての原因は私の甘さだったんだったん。

ヨッシャこれだ!
ってものを先ほど注文したので、近日中に設置する運びとなるだろう。
その効果が絶大であることを切に願う。

ともあれ、近頃どうにも「クレヨンしんちゃん」なのである。
なぜかなぜだか、とんでもなく面白く感じている。

その昔、兄に『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』を観るべし!と言われて観たとき、私はまだ独身真っ盛りで「クレヨンしんちゃん」のキャラクター設定など全く理解してなかったもんだから、全っ然その面白さが理解出来ずチンプンカンプンだった。

だがしかし!
一児の父となった今は一味違うわけで、つい先日十数年ぶりに観てみたら面白過ぎて感動してしまった。
こうも人の感覚ってのは変わるものなのか。
変わるものなのである。
人は変わるのだ。
クレヨンしんちゃんが、それを証明してくれた。

それにしても、野原ひろしである。
野原ひろし、言わずもがな「クレヨンしんちゃん」の主人公野原しんのすけの父だ。
ひろしが魅力的でしょうがない。

野原ひろしは足が臭い。
私はずっと、それがただの中年男ってこんなもんだよね的なキャラ設定だと思っていたのだが、これが違っていたことに気づいた。
ひろしはサラリーマン。
朝から晩まで革靴で、あちこちに行く。
だから足が臭いのだ。
家族のために一所懸命働いているお父さん……
ってことの現れだったのだ。
深いぜ。

仕事の合間に、ちょっとずつ書いてたら結構とっ散らかった文章になってしまった。
ごめんなさい。

次は、クエンティン・タランティーノ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」について熱く語りたいと思う。

それでは股旅。