ぼくの夢でした

開店前にブロロンと車を走らせ実家に行ってきた。
父の髪を切るためだ。
父は今年で八十四歳になる。
顔を合わせれば憎まれ口の雨あられだった父も今や好々爺。
交わす言葉もほとんどなく、話しかけても「あいあい」と笑うばかり。
帰り際に握手をし背中をポンポンと叩き「達者でね!」と言うのがお約束。
「ありがとう」
父はにこりと笑って、そう一言だけつぶやくのもいつものことだ。

 

縁起悪いと叱られるかもだが、毎度これが最後かもと思いながらカットしている。
だからと言うわけではないが、毎度切り終わると写真を撮らせてもらっている。
ピースサインなんて絶対しないキャラだった父にピースサインを要求してみる。
すると、そのときはこれでもかってぐらいにおどけてみせる。
写真を見た人誰もが「元気そうじゃない!」と言ってくれるようなエネルギーをたたえて。
父に、家族それぞれへの贈る言葉を用意しといてとお願いしておいた。
遺言ではない。
あくまで贈る言葉だ。
話せるうちに、僕がメモしておくからと言うと「あいあい」と父は微笑んんだ。
帰り道、車を走らせながら竹原ピストルの『ぼくの夢でした』を聴いた。

 

♪大まちがいが大正解

大賛成を猛反対

大失態に大爆笑

大成功を猛反省

君が見させてくれた夢を叶えるところを

君に見せることが ぼくの夢でした

ぼくの夢でした……♪

 

たまたま聴いたんだけど、なんだか今の自分の気持ちにジャストフィットスムーズイン。
今度、父に聴かせてみよう。

 

歌っていいね。
音楽っていいね。

 

さてと。
仕事しましょうかね。

 

股旅。

冬来たりなば春遠からじ

ここ最近の尋常じゃない冷え込みのせいで一昨日一昨々日と二日連続で凍結でお湯が出なくなった。
なんとかなるでしょと甘く見ていた小生を尻目に、妻さんがせっせとぬるま湯を給湯元栓にかけてくれて、どうにか営業に間に合った次第。
あのまま成り行きに任せていたらと思うとゾッとする。
自分の甘さに眩暈がする。
妻への感謝は計り知れないのだった。
いつもありがとう!

 

昨日は表参道にて学生時代の先輩の結婚式にお呼ばれ。
早起きして電車に揺られ行ってきた。
一緒に呼ばれたのは友人の絵描きアラヤン。
先輩(バンドをやりながら映画館でバイト)と小生(師匠の店ロケットバーバーで修行中)とアラヤン(確かあの頃はジーンズ屋でバイトしてた)、それぞれ新所沢で働いていた二十代の頃。
よく三人で飲み語り明かした付き合い。
人との向き合い方、表現すると言うことの意味、ロックとプロレスの共通点、真心、思いやり、男前のさりげなさを共に学んだんだったんだったん。
二級上の先輩と言いつつも、小生はなぜか不思議なことに二年間も浪人していたので先輩とは同い年。
卒業してから先輩というより友人関係に近くはなったが、未だに敬語は抜けていない。
それでいいと思っているし、このまま死ぬまで敬語で行こうと思っている。

 

式前半から涙が溢れた。
年々涙もろくなって来てるなとアラヤンと笑いあった。
幾人かの方々のスピーチも素晴らしく、ここでもまた泣いた。
先輩の父上の友人であられる八十路の方の
「これからの人生において必要なもの。それは『笑顔』と『優しい言葉』と『学ぶことを忘れない心』だ」
と言う言葉はしみじみと染み渡った。

 

バンドが縁で結ばれた新郎新婦ってことで、宴終盤で歌を披露してくれたのだが、これもまたさすがの歌心。
泣けて泣けてしょうがなかった。
それはもう笑っちゃうぐらいに。

 

四十路半ばになっての、まさかの友人の結婚式出席。
さすがにこれで友人の結婚式ってのは最後になるだろう。
いい刺激をいただき、いい気持ちになれた。
小田中先輩、お招きどうもありがとうございます! 押忍!

 

そんなわけで、やっとどうにかこうにか、今週から年末年始のあたふた具合から通常モードへと移行出来そうだ。
寒さもちょいと和らぐみたいだし、そうしたらデッキのペンキ塗りをしよう。

 

冬来たりなば春遠からじ。
春が待ち遠し過ぎるのである。

敬具。

 

DOODLIN’ BARBER SHOP 店主 高崎哲平

俺のアディダス

数年前から仕事用にと愛用している adidas campus 。
今年はこれだねとずっと目をつけていたグレーを手に入れた。
これで何足目になるんだろうか。
ササっと記憶を辿ってみたが、五、六足目。
いや、六、七足目ぐらいになるか。
さっき、この日記用にと今使用しているオレンジとその前のネイビーと新品のグレーを三足並べて写真を撮ろうと思ったんだけど、悲しくなるぐらいオレンジとネイビーがボロっちくて撮るのをヤメた。
今後も adidas campus を履き続けようと今さっき決意しました。
なんかそういうのイイじゃないですか。
歴代のものを取って置こうかしら……なんて考えも一瞬頭を走ったがヤメた。
履けなくなったらさっさと捨てよう。
なんかそういうのイイじゃないですか。

こんなこと書いていると、それはもう竹原ピストルの “俺のアディダス ~人としての志~” を聴きたくなるのは当然至極なのです。
そして、今更ながら「え?これってもしかして?」とピンと来たんで調べてみたら、やっぱりこの曲はダウンタウンの松本人志さんに贈った歌だったのでした。
アディダスが好きな松ちゃん、このまま売れないんじゃないかと不安に苛まれていたときに、自身の映画『さや侍』の主題歌を歌って欲しいとオファーしてくれた松ちゃんのために書いた歌。
そうか、この曲のサブタイトルの「人としての志」ってのはそういうことだったんですね。
鳥肌立っちゃいましたよ。
こんなのシビれてしまうに決まってるじゃないですか。

 

そして烏滸がましくも、これからずっと adidas campus を履き続けるんだぜと決意した今年四十七歳になる床屋のおやじさんの想いとクロスオーバーさせてみたりしたりして。
ダウンタウンの松本人志さんに贈った歌といえば、THE HIGH-LOWS の “日曜日よりの使者” もそうでしたっけね。
どっちも格別イイ歌ですよね。
こんな素晴らしい歌を贈ってもらえるだなんてスゴいな。
しかも甲本ヒロトと竹原ピストル。
お金でどうこうなるもんじゃないですもんね。
スゴイな。
ホント凄いです。

 

今回手に入れた adidas campus のグレー。
サイズは27.5です。
店員さんに合わせてもらったんですけど、僕の足幅だとこのサイズがちょうど良いのだそう。
明らかに、つま先はスッカスカ。
でも横幅はジャストフィット。
体型と一緒ですな。
いつもの感じだと、次の履き替えの時期は夏前ぐらいか。
今度は何色にしようかしら。
死ぬまでに何足履けるかな。
ずっと履き続けるスニーカーを決めただけで、いろいろと楽しみが増えました。

 

それでは股旅。

 

《お知らせ》
十四日日曜日は、友人の結婚式に出席するため十四時半からの営業となります。
ご了承ください。

背中で語れる人間になりたい

あらためまして新年明けましておめでとうございます。
昨日から仕事始めとさせていただいております。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

新年となると、今年一発目に聴くのはこのアルバムだ!
とか、今年最初の店内 BGM はこれだ!
なんて鼻息荒くなるのが常だったのですが、小生も年を重ねたせいか、あまりそういうことにこだわらなくなってきてますね。
まだ六日だっつーのに、年明け一番最初に聴いたのってなんだっけ?ま、いっか!
そんな感じです。
何せ今年で四十七歳になるわけで、こうなるともう四十路ベテランです。
これが数年後には五十路ビギナーになるわけで、なんか世の中うまく出来てるな〜だなんて感じ入ります。

 

我が家はもう恐竜三昧な年明けでして。
ますます加熱する息子の恐竜ブームにてんやわんやなわけです。
新年早々、元旦から恐竜のおもちゃを買いに行き、二日には、あの
DINO-A LIVE を地元で堪能し、その後も何かにつけ恐竜キョウリュウダイナソーなわけです。
我が息子ながら、その探究心には感心するばかり。
図鑑を見てても「漢字も全部読めてるんじゃ?」と思うぐらいにどの恐竜の名前も食性も全長も覚えているから瞠目してしまいます。
このまま昆虫 & 恐竜大好き小僧として駆け抜けるのか。
それとも、他の何かに興味が移ろうのか。
全く予想出来ません。

 

何かの本に、
子供が同じ種類の図鑑ばかり欲しがると、どうしても親は偏って欲しくないなと他の図鑑を与えてしまいがちだが、図鑑と言っても出版社によってアプローチの仕方が全然違うのだから、何冊も出版社別で(例えば恐竜の)図鑑を与えてもイイんだぜ!
と書いてあったので、小生はそれを鵜呑みにして、二冊目の恐竜図鑑を選ばせました。

 

これが吉と出るか凶と出るかだなんて、絶対「吉」しか出ないと信じております。
そういえば、小生が引いたおみくじは「中吉」でした。

『苦しい事、つらい事、悲しい事、凡てが神様から与えられた試練である。
過去を振り返り、自己の行為を反省し、心をみがき、誠心をつくして、家庭を守り仕事を大切にし、ただひとすじに神様を大事にすればそこに新しい道が開けます。』

だなんて書いてあって、中吉の割にはハードボイルドだぜ……
と一瞬思ったけど、当然至極良いことばかりが書いてあるわけで、これも啓示だなと飲み込み受け入れようと思いました。
一生従っても良いぐらいの神様からのメッセージだなと。
そう感じ入りました。

 

そんなわけで、今年も頑張ります。
ともかくもう、頑張るしかないわけです。
2018年は、運動不足解消!それと新たなる挑戦!
この二大テーマに即して日々暮らしていければなと願っております。

それと背中で語れる人間になりたいですね。

 

重複しますが、今年もくれぐれもどうぞよろしくお願いいたします。
ともあれ、店に来ていただきたい。
そこに高崎哲平がいますんで。

 

2018年1月6日
DOODLIN’ BARBER SHOP 店主 高崎哲平

迎春

拝啓、親愛なる皆皆様。
明けましておめでとうございます。

旧店舗ありし新所沢を出でしより二年半あまり、月日の経つのは早きものであります。
思い起こせば旧年中は恥ずかしき事の数々、今はただ反省の日々を過ごしております。

皆皆様方には2018年もよろしく御指導御鞭撻くださいますよう、向後万端ひきたって、宜しくお頼み申します。

末筆ながら所沢市三ヶ島にて、貴方様のご幸福を心よりお祈り申し上げます。

DOODLIN’ BARBER SHOP 店主 高崎哲平 拝