そういうことだったのだ

先日、取材に来てくださったライターさんに屋号に “BARBER SHOP” と入れた理由を訊かれました。

当店が開店した十七年前には、もちろん昨今のようなバーバーさんブームみたいなのは その予兆すらなかったわけで、いやむしろ正直ちょっと『床屋=ダサい、古い』的な空気もあった状況だのにナゼ、歯を食いしばりキミは行くのか、そんなにしてまで……

ってところがこの質問の真意だったのだと思います。僕はそれは決意表明だったのだ とカッコツケて答えました。
老若男女問わずウェルカムとするより特化することによって圧倒的な個性が出せるんじゃないかと、そこに自分がやるからこその意味が見つかるんじゃないかと……

なんて鼻息荒かったわけです。
恥ずかしながら。

とまぁ、イキってそう言いましたが実際「理髪店」とか「理容室」を屋号に入れるほどの覚悟はなかっただけなんですよね。
得意のちょうど良い抜け方を狙ったわけです。
バーバーショップってのは、ただの英語なんです。つまり英語でカッコつけたわけですよ。

ところがですね。
今読んでる近田春夫さんの自伝にこんなことが書いてあったのを発見して僕の中で風向きが変わったんです。

“ランDMC の「King of Rock」にしても、LL・クール・J の「Rock the Bells」にしても、時代遅れの代物という印象があったロックという言葉をわざわざ別の文脈で蘇らせることによって、価値観をひっくり返す意図があったと思うんだ。
ランDMC のある意味象徴でもある アディダス も当時 ナイキ の方がカッコいいとされてた中で、スポーツ用品店の外に積まれてた、半分日に焼けたような商品にあえて目をつけたんだと思う……”

こ、これだっ!
ってなりましたよ。
うん、多分、これです。

なのでこれからは「ナゼ屋号にBARBERSHOPを?」と訊かれたら「説明しよう!それはね……ランDMCがね……」と長々と語ろうと思います。

つまり DOODLIN’ BARBER SHOP はヒップホップ なんだってことなんです。笑 

巷のバーバーさんムーブメントは、遠くで燦然と輝く花火のようですが、うちのお客さんは、DOODLIN’ が床屋なんだってところを気に入ってくれてると思っていますので。

とまぁ冗談はさておき、DOODLIN’ BARBER SHOP を今後ともよろしくお願いいたします。

店主 高崎哲平 拝 

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