そろそろ夜の吐息に飲み込まれてみようか

ふと気がつくと、BOØWY の 「B・BLUE」を口ずさんでいることがある。


この曲がリリースされたとき、私は中学三年生。その人気は凄まじく、レンタルレコード屋でも同曲が収録されているアルバム『BEAT EMOTION』はなかなか借りられず、予約して数週間後ぐらいにやっと聴くことが出来たのを覚えている。


この流れに乗らなくてはダサいぜ!


と鼻息荒く聴いてはみたのだが、あまりハマらなかったのは何故だろう。


当時、私の中では、THE BLUE HEARTS、尾崎豊、そしてこのBOØWYが三大勢力とされていて、完全なるTHE BLUE HEARTS 派に属していた私に取って他派の音を認めるわけにはいかなかったのだろうか……んなこたないか。


で、あれから三十数年が経っても、ふと口ずさんでしまう「B・BLUE」のフレーズが、


♪夜の吐息に飲み込まれて 震えていた LONELY ANGEL♪


であることが多いのだが、あらためてこうやって字に起こしてみると、なかなかどうして凄い世界観だなと嘆息が止まらなくなった。


十五歳のヤングシャイボーイだった私にとって、夜の吐息に飲み込まれちゃって震えちゃっているロンリーなエンジェルっのは、最早ファンタジーの世界のもので、どこか遠くの異世界のように感じていた。


大人なったら、きっとロンリーなエンジェルを街角で見かけるんだろうなと期待していたが、五十歳になった今も見たことはない。


けれども、THE BLUE HEARTS は、すぐ隣にある世界のことを歌っているように感じた。自分にはそれがジャストフィットしたんだと思う。
きっと BOØWY が好きな人たちは、BOØWY が歌う、どこか遠くの異世界に想いを馳せることが好きだったのだろう……違うか!


尾崎豊が紡ぐ世界観は、等身大のリアリティみたいなことを言われていたが、私のそれとは違っていた。それそれで、またファンタジーだったんだった。


そういうわけで、今日もまた やぶれた翼で もう一度飛んで、こわれた心で もう一度笑おうと思う。

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